第四部 声を世界につなぐ
CHAPTER 15
キャプテ
2024年ごろ
仕事とは別の場所でも、動物への気持ちに変化がありました。
野良猫が、うちの納屋で子猫を産んだんです。寒い時期でした。小さな体で、がりがりに痩せた母猫が、6匹の子猫を育てていた。見かねて、餌をあげるようになりました。そうして少しずつ、お互いに心を開いていったんです。
最初から、関わろうと思っていたわけではなかった。
むしろ、できるだけ関わらないようにしていました。
人間が関わってしまうと、彼らを、
人間社会のルールという檻に、押し込めなければならなくなるから。
麻痺していたあいだも、「かわいいなぁ」と思うことは、ずっとあったんです。でもそれは、昔の無邪気なものとは違っていました。
ただ、子どもたちが子猫に夢中になって。子猫と子どもたちが戯れる姿が、本当にピュアだったんです。
中でも、子どもたちに「キャプテ」と名づけられた子猫がいました。6匹の中でいちばん小さくて、少しだけ人工哺乳で支えた子です。とても懐きました。べったりではないんです。ちゃんと自由がある。でも、ニンゲンに対して、とてもリラックスしていて、寛容だった。車での移動にも、まったく動じない子でした。
キャプテに対して、何が戻ってきたんでしょう。
何があったのかは、わからないんです。でも、その子に対して――
昔の自分が持っていた、純粋な「かわいい」「触れたい」「抱きしめたい」。
そういう愛おしさが、よみがえってきたんです。
わが子に感じたものと、似ているかもしれません。